潜在性甲状腺機能低下症の治療目標

甲状腺の話題です。

これまで疲労感・便秘・むくみなどの自覚症状がない甲状腺機能低下症(潜在性甲状腺機能低下症と言います)を治療するかどうかの基準ははっきりと決まっていませんでした。(妊娠希望の女性だけは治療しておいたほうがよいとされていました)

昨年末に出た研究結果では、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が4.4~12.8 mIU/Lの人達は治療しても症状に差が出ないという結果でしたので、私は外来でTSHが10-15 mIU/Lくらいの方には「だるさやむくみが無ければこのまま薬なしで様子を見ましょう」と説明していました。

ところが、このたび発表された最新の論文ではTSHが10 mIU/L以上だとどうやら心疾患・骨折・死亡する確率が上がるようだという結果が出ました。

後者の研究ではTSH 10 mIU/L以上の人を全て一括りにしているので、ひょっとしたら10-15までは変わらなくて15以上では体に悪くなる…という可能性もなくはないのですが、やはり10以上の方に補充しないのは少し憚られるような状況になりました。

このように病気の治療目標というのは最新の研究結果に合わせて日々更新されてますので、「去年と言ってることが違う、あいつは適当だ!」とか思わないでくださいね。

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