予防注射

予防注射について

実は日本はワクチンに関しては後進国で、欧米はもちろん東南アジアで定期接種となっているワクチンも本邦では自費となりきちんと打たれていないのが実情です。予防注射は保険医療に比べると一見高く思えますが、生命保険などよりも効果は確実ですし、入院よりも安上がりです。中には治療法がなかったり命取りになる病気もありますので、予防できる病気はきちんと予防をしていくことを強くお勧めしています。また、周囲にワクチンを打っている人が多いほど予防効果も高まる(皆が防犯対策をしている地区の方が泥棒に狙われにくいようなもの)ので、予防注射は自分だけでなく他人のためにもなるといえます。

取り寄せになるワクチンもありますので、ご希望の方は事前に電話でお問い合わせ下さい。また、海外、特にアジアやアフリカに行く予定がある方の予防接種相談も承ります。

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各種ワクチンの解説

インフルエンザワクチン

注射をしても絶対にインフルエンザにかからないわけではありませんが、かかりにくくなるのと、特にかかった後の肺炎や脳炎など重症化を防ぐ効果が重要です(シートベルトをしても死なないわけではありませんが、重症になるのを防ぐのと同じです)。また、インフルエンザワクチンを多くの方が打つことで流行を抑えることができます。妊娠中の方を含め、あらゆる人に毎年ごとの接種が勧められます。

肺炎球菌ワクチン

実は日本人の死因第3位は肺炎で、特に高齢者でよく命取りになります。肺炎の原因になる菌は色々ありますが、このうち肺炎球菌という一番ポピュラーな菌の感染をこのワクチンで防ぐことが出来ます。65歳以上の全ての方と、心臓・喘息・肝硬変・腎不全・糖尿病などの持病のある方、脾臓を取ってしまった方に注射を勧めています。

破傷風ワクチン

破傷風菌は動物の体内や土に存在していますが、実は明らかな怪我が無い場合でも破傷風にかかることもあります。発症してしまうと死亡率は3割にものぼる怖い病気ですが、ワクチンで予防することが可能です。幼少時に3種混合で予防注射をしますが、実は10年に1回追加の注射をしないと免疫が弱くなります。また、間隔が空いてしまうと初回は3回の予防注射が必要になります。農作業や庭仕事をする方はもちろん、20歳以上の全ての方に追加注射を勧めています。

HPVワクチン(子宮頚がんワクチン)

若い女性のがんで怖いのは乳がんと子宮頸がんですが、このワクチンは子宮頸がんの原因となるウイルス感染を予防します。いま国内では副作用が騒がれておりますが、世界的には一般的なワクチンと同様の副作用しか確認されておりません。特に思春期から26歳以下の女性に勧めていますが、男性が打っても本人やパートナーを感染から守ることができます。また、ワクチンを打った後も定期的な子宮頸がん検診は必要です。

定期接種の対象年齢は小学校6年生から高校1年生相当の女性です。初回の性交前でしたらいつでもいいのですが、中学1年生になったら初回接種を受けることをお薦めしております。

当院では定期接種は4価のガーダシルのみですが自費接種ではガーダシルおよび9価のシルガード9を取り扱っております。数字が大きいほど防げるウイルスの種類が多いです。

参考リンク:日本産科婦人科協会「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」

麻疹ワクチン

麻疹は発疹と発熱が出るだけでなく、1000人に1人は死亡したり脳炎で後遺症が残る怖い病気です。最近はアジアやアフリカなど海外からの持ち込みが多く、非常に感染力が強いため感染者と同じ電車や教室内にいるだけで免疫のない人は感染します。子供の時に2回注射していない方に勧めています。2回注射はしていないけど麻疹にかかったことがある気がする、という方も実は別の病気だった可能性もありますので、注射した方がよいと言えます。妊娠中は打てず、注射後2ヵ月は避妊が必要ですので、適齢期の女性は早めの接種をお願いします。

風疹ワクチン

妊娠初期の妊婦が風疹にかかると、赤ちゃんに白内障や難聴などの奇形が生じる可能性があります。妊娠を考えている女性はもちろん、近しい方が打つことで母親への感染も防ぐことができます。こちらも注射後2ヵ月は避妊した方がよいですので、適齢期の方は早めに注射をしましょう。

A型肝炎ワクチン

飲み水から感染し、1-2ヵ月倦怠感などに悩まされます。国内ではあまり問題ありませんが、海外、特にアジア・アフリカ・中南米への渡航予定の方に注射を勧めています。出発まで2ヵ月くらい余裕を持って注射して下さい。

B型肝炎ワクチン

B型肝炎は歯科治療・海外旅行・性交渉・出産など日常生活で感染し、完治が困難で劇症化して死亡したり慢性化して肝硬変になることがあります。2016年から小児は定期接種対応となりましたが、大人では注射していない方がほとんどだと思います。全ての方に勧めています。

おたふくかぜワクチン

こちらも世界的には定期接種が常識です。就学前に感染することが多いですが、大きくなってから感染するほど脳炎や難聴になる可能性が高まりますし、特に男性は精巣炎を合併して不妊の原因になることがあります。

帯状疱疹ワクチン

子供の頃に水ぼうそうにかかると、治った後も原因のウイルスは体内に隠れていて、加齢などで体の免疫が落ちてくると再び悪さをします。はじめは体の片側がピリピリと痛み、数日して水疱が出てくるのが特徴です。治った後に難治性の痛みが残ることが多く、顔に出来ると眼や脳にも感染することがあります。50歳以上の方はワクチンで発症を予防することが出来ます。

その他

全てのワクチンに言えますが、何回注射をしても免疫のつかない方が数%ほどいらっしゃいます。免疫が残っているか心配な方も是非ご相談下さい。

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