新たな知見や変異株も出てきましたので新型コロナウイルス関連の話をまとめておきます。
1.感染経路について
3密と言われていた時代もありましたが、今では
飛沫感染 > エアロゾル感染 >> 接触感染
ということが分かっています。
飛沫感染
これまでのクラスター例を見ても、やはり飛沫感染、つまり「マスク無しでの会話」が圧倒的に危険です。
これを可能な限り避けることがコロナ予防の原則です。
エアロゾル感染
次に危険なのがエアロゾル感染です。これは空気中を漂うくらいの微小な粒子を介した感染で、換気の悪いところで発生します。
マスクをした状態での長時間の会議、カラオケ、トレーニングジムなどで感染が出る原因がこちらです。
マスクをしていても換気の悪い場所に長時間留まらないように気をつけてください。
接触感染
逆に、物品表面からの感染はかなり確率が低く、やたらとアルコールで拭き掃除をするのはあまり意味がないことが今では分かっています。
付けっぱなしの手袋は以前にも書きましたがただの自己満足ですね。
消毒するのは発熱した人が触ったところだけで十分ですのでその労力は他のことに回しましょう。
ただし、手洗いだけは引き続きこまめにしてください。
今はそれでも不十分かも?
まだ不明な部分が大きいのですが、目下流行が拡大しているデルタ株ではこれまでの予防方法では不十分な可能性が高いです。
都内でもすでに第5波の流行が始まっており、30-40代の健康な人でも重症化する例が増えていますので、
ワクチンを打ってない人は最低でも「マスク無しでの会話」をできるだけ避けるようにしてください。
2.後遺症について
死亡率がそれほど高くないので油断している若い人もいますが、デルタ株では若い健康な人でも人工呼吸器にまでなる人が増えてきています。
また、自宅療養で回復する程度の軽症例でも以下のように長期間に渡って後遺症が続きます。それでも他人と食事したいですか?
https://doi.org/10.1038/s41591-021-01433-3
3.ワクチンについて
副作用について
やたらとマスコミが副作用を強調していますが、事実はこのような感じです。
死亡例
これまで全世界で10億人以上が打っていますが、はっきりした因果関係が証明された例はまだありません。日本人は毎日3000人くらいが色々な原因で亡くなっていますのでパンを食べてもニュースを見ても黒猫が前を横切っても死ぬ人は死にます。
アナフィラキシー
残念ながら一定の確率で起きてしまいますが、確率は1万人に1人程度ですし、応急処置の体制も整っており国内では全例が回復しています。
なお他の物質でアナフィラキシーを起こしたことがあるからワクチンが打てないということはありませんので、もしよその会場で言われた人がいたら当院にご相談ください。
血栓症
日本で使われていないワクチンの話です。
心筋炎
最近報告例が増えていますが、確率は10万人に一人以下です。ワクチン接種後に胸痛が出たらすぐに救急外来受診をしてください。
発熱
1回目の後は全世代で20人に一人くらいですが、2回目は少し上がって20-30代で半分が、40-50代で3人に一人が発熱します。ただし、普通は2日以内に治ります。市販の解熱薬なら何でも使って大丈夫です。3日以上続くようなら医療機関を受診してください。
接種できない人
新型コロナのワクチンが打てない人は以下くらいです。
- 当日37.5度以上の熱が出ている人
- 当日明らかに具合の悪い人
- 2週間以内に他のワクチンを打った人
- PEG(ポリエチレングリコール)でアナフィラキシーを起こしたことがある人(たぶん日本で10人くらいしかいません)
しかもPEGアナフィラキシーの人以外は接種が延期になるだけです。PEGアナフィラキシーの人はアストラゼネカなどmRNA以外のワクチンを打つことになります。
有効性について
日本で使われているファイザー製もモデルナ製もアルファ〜ガンマ株まで90%以上の高い感染予防および重症予防効果が確認されています。
最近全世界で流行が拡大しているデルタ株についてもイギリスでは88%、イスラエルでも64%ほどの有効性が確認されています。
イスラエルで低く出ているのはワクチン接種から時間がたっているためという話もありますが理由はまだはっきりしていません。
全世界で流行が再拡大してるのはワクチン未接種の人で広まっているためで、少なくとも打ったほうが遥かに安心であることには変わりはないですね。
有効期限について
少なくとも1年は持つようですが、半年ほどで抗体の効き目が落ちてくるという研究結果もあり、半年〜1年で追加接種をしたほうがいいという流れになりつつあります。
しかし、3回目を打つよりは全人口に確実に2回打った方が公衆衛生上の効果は高いため、どの程度の間隔で今後打つことになるかは未確定です。
ワクチン後の行動について
アメリカではワクチンを2回接種した7700万人のうち5800人が新型コロナに感染しています。ラムダ株などワクチンの効果が低い変異株も流行しだしていますので、ワクチン接種後も感染予防はしておいたほうが良いです(飲み会や旅行の自粛ではなく、飲食時以外はマスクをして食べながら話さないなどの工夫です)。