全国的に麻疹が大流行中
1年前は百日咳が大流行していましたが、今年は日本全国で麻疹の流行が止まりません。
下図のように、ここ数年で最悪の流行状況となっており、50歳以下の幅広い年代に感染していることや、これから連休で人の移動が多くなることから全国的に流行が拡大することが予想されます。



東京では学年閉鎖する小学校も
先週はついに新宿区の小学校で児童教職員合わせて18名の麻疹の集団発生が起こり、学年閉鎖になる事態となりました。(その後感染者は47人に拡大しております)

麻疹の怖さ
麻疹はインフルエンザや新型コロナよりもはるかに感染力が強く、ワクチンの未接種者は電車やスーパーなど同じ空間にいるだけでほぼ100%感染します。
症状は高熱や全身の発疹が主ですが、20人に1人ほど肺炎を起こしたり1000人に1人ほど脳炎を起こして感染者の0.1%ほどが死亡します。
また、1万人に1人ほどの確率で感染してから数年後にSSPEという治療法のない脳炎を起こし、徐々に知能や運動能力が衰え発症後数年で意識不明の寝たきりになる恐ろしい病気です。
さらに麻疹は人体の免疫記憶も攻撃するため、これまで予防注射などで獲得した麻疹以外の病気に対する免疫が麻疹感染後に弱体化/消失することも報告されております。
麻疹を予防するには
無人島や山奥で自給自足していない限りは生活していて感染者を避けることは不可能なので、有効な予防手段はワクチンを合計2回打つことだけです。
しかし上記の新宿区の小学校では初期感染者18名のうち16名がワクチンを2回接種しており、2回打っても結局かかるなら意味ないじゃないかと思われれる方もいるかと思います。
確かに麻疹は非常に感染力が高いためワクチン2回接種後でも学校や会社のように感染者の近くに長時間いると免疫を貫通して感染してしまうこともあるのですが、発熱や発疹などの症状が無接種者に比べてかなり軽くすみ(修飾麻疹といいます)、脳炎やSSPEのような合併症もほぼ防げることがわかっています。
また、ワクチン2回接種者が一定以上(目安は90-05%)のコミュニティは外部から病気が持ち込まれるのをそもそも防げるので(防犯カメラが一定数以上ある街には泥棒が寄り付かない感じです)、地域全体でワクチンの接種率を上げるのが麻疹の流行を防ぐには重要です(これは麻疹だけでなく狂犬病やインフルエンザなどすべての感染症に言えます)。
自分の身は自分で守ろう
じゃあ昨年末から徐々に感染拡大していたのにワクチン接種を呼びかけてこなかった政府や自治体の失策じゃないかと言われれば、全くその通りだと思います(テレビや新聞は元から反ワクチンなので期待していません)。日本は歴史的にワクチンの接種後被害を大袈裟に吹聴する勢力の声が大きいのと政府機関が事なかれ主義なせいで、先進国の中で各種ワクチン接種率が非常に低くなっております(最近では米国もそうなりつつあります)。ワクチンの生産量は急に増やせないので流行が拡大してからワクチンを打とうとしても入手困難になるため、自分や家族を守るには自治体任せにせず自分で積極的にワクチンを打っていくことが必要です。
麻疹ワクチン何回打てばいい?
以前は採血で麻疹の抗体価が高ければ0-1回接種でも大丈夫と言われていた時期がありましたが、現在では明らかに麻疹にかかったことがある人以外は全員2回接種が推奨されています。これは現在抗体価が高くても2回接種以外では将来抗体価が下がってくることがあるためや、2回接種しておくと抗体価に関わらず麻疹の予防効果が高いことが確認できたことなどの最新の知見に基づいています。母子手帳などで接種記録を確認していただき、必ず2回打つようにしてください。
麻疹ワクチンを2回打った後の抗体検査は基本的に不要ですが、抗体価を測定した上で3回目の追加接種を希望される方は個別にご相談ください。また、4回以上の注射はどなたにも推奨されておりません。
麻疹単体のワクチンは一般の方向けには入手困難なため当院では麻疹風疹ワクチンの注射で代替しております。トラベルクリニックなどではMMRワクチンをやっているところもありますのでお探しください。
また、麻疹ワクチンは生ワクチンのため妊婦は接種できず、妊娠可能な女性は接種する過去1ヶ月および接種後2ヶ月の避妊が推奨されておりますので女性は接種時期もご注意ください。
年代別の麻疹風疹ワクチン接種状況
| 1972年以前 | 定期接種が全くなかった世代。過去の感染で抗体を持つ人が多いが 明らかに感染したか不明な場合は2回接種が推奨される。 |
| 1972年〜1990年 | 定期接種が1回のみだった世代。もう1回の追加接種が推奨される。 |
| 1990年〜2000年3月 | 2回接種が導入されたが2回目は任意だったので1回接種のみの人が多い。 母子手帳を確認して合計2回の接種が推奨される。 |
| 2000年4月以降 | 2回の定期接種が導入されているので親が反ワクチンでなければ大丈夫。 怪しかったらこっそり母子手帳を確認しよう。 |
麻疹以外に推奨される任意の予防注射
- 現在定期接種化されているが子供の頃に打ってないワクチンすべて(特に風疹とB型肝炎)
- おたふくかぜワクチン 2回
- 6歳と12歳で百日咳ワクチンの追加接種
(12歳時は2種混合の代わりに3種混合を自費で打つのを推奨) - 12-30歳 男女ともHPVワクチン3回
(小6-高1の女子は無料。男子は意識の高い自治体では補助金あり。もちろんあきる野市は無い) - 28-36週の妊婦 RSVワクチン接種(補助金あり)
- 20歳以上で10年ごとに1回 破傷風ワクチン
- 海外渡航する人は滞在先に合わせた予防注射
