国内の麻疹流行が衰える兆しがありません。愛知県での感染も拡大しており、東京でも町田市で患者が確認されています。
麻疹はウイルスに晒されてから症状が出るまでの潜伏期が10-12日と長いため、1週間新しい患者が出なくても流行が落ち着いたと考えるのは早計です。また、熱が出る4日前からウイルスを周囲に撒き散らすうえ、初期の症状は風邪と区別がつかないことも流行が収束しにくい原因となっております。
麻疹の感染を防ぐにはワクチン接種しか有効な手段はないのですが、そのワクチンも自費接種の分は(厚労省の当初の言い分と違い)現在出荷制限がかかってしまったため、公費で打てる幼児以外はなすすべがないというのが現状です(あるとしたら山奥で自給自足するくらいでしょうか)。これはまさにドラマの「仁」のような、江戸時代と同じ状況であるといえます。
感染症の流行を防ぐには社会集団の中でのワクチン接種率がある程度高いことが必要なのですが、麻疹の場合は90-95%の接種率が必要で、日本では90%を下回っていると考えられます。
しかしこれは日本だけの状況ではなく、先進国でも同様の事態が起こっています。
英テレグラフ誌:はしか再流行のきざし、ワクチン反対論が原因か
たしかにワクチン注射により有害な副作用が出ることはあるのですが、反対論者の主張するような過激なものは因果関係が否定されており、ワクチンを接種しないことによる社会的な害の方がはるかに大きいのです。
日本ではマスコミも無責任にワクチン反対論に加担し、クレームに弱い厚労省の弱腰もあってワクチン接種レベルは先進国最低ランクとなっております。自費の予防接種が高額なのは問題ですが、命には替えられないと思いますし、生命保険1ヶ月分くらいの値段です。
ワクチンの生産量は急に増やせないため、いったん流行が始まると今回のように在庫がすぐに枯渇して手遅れになりやすいです。麻疹の接種が1回以下のみなさまは、今回の流行が収束してワクチンの流通が再開したら必ず2回の予防接種を行うよう強くお願いいたします。